最後に食べたものが肌の色になる世界(承)

文章;もこもこマティーニ

omgyjya3334543.hatenablog.com

 

 

中華料理屋に行き焼肉定食半炒飯餃子セットを食べる。

目の前にいる女の子は餡かけかた焼きそばの小サイズを食べる。

女の子は餡掛けかたやきそばに入ったうずらの卵と小松菜を器用によける。

家庭科の授業で針糸に針を通している小学生みたいに両眼を寄せてツンッと口をとんがらせている。

 

僕は中華料理屋で餡掛けかたやきそばを頼む人が好きだ。

だから彼女が好きだ。なんか餡掛けかたやきそばって大人な感じがする。玄人な感じ。

 

僕は目線を自分が食べている焼肉定食半炒飯餃子セットに移す。

心の中ではあーっとため息をつく。これじゃあまるでガキじゃないか。キッズが考えた最後の晩餐みたいだ。

そう思うと耳の辺りが熱を帯びてくる。僕も餡掛けかたやきそばを頼めばよかった。

そしたら明日は肌色の顔なのに。

こんなわけのわからない定食を食べたらどうせ明日の顔はわけのわからないボヤけた色になってしまう。もしかしたらまた小言を言われてしまうかもしれない。

「焼肉と炒飯と餃子が混ぜこぜになったひどい色してるじゃん。アタシ一緒に歩きたくない」

 

僕は明日女の子に言われるだろう悪口を頭の中でシミュレーションする。

もしかしたら悪口は

「吐瀉物みたいな色ね」かもしれない。いろいろ食べたんだから当たり前だ。僕は僕が食べたいものを食べると決めたのだ。